ペットの法律相談所 ペットを取り巻く法律問題

猫を多頭飼いしているお宅が不衛生で困っています

うちの近所に猫をかなりの数飼っているお宅があります。近くを通るとあの猫特有のニオイがするだけでなく、庭にはゴミの山が見えます。夏場はニオイとともに虫の発生もすごいです。最近では更に近所の野良猫にも餌を与えているのか、家の外にも猫が集まっています。見ているだけなら可愛いのですが、不衛生なまま飼われてはとても不快です。知り合いではないのでやめてほしいと言うことができず、困っています。何か改善する方法はあるのでしょうか。

 猫を飼うこと自体は自由ですが、飼い主は、「動物の愛護及び管理に関する法律」により、ペットの鳴き声や糞尿等で他人に迷惑をかけないように努めなければならないという義務を負っています。まずはこの義務を根拠として、飼い主に改善を求める、または、行政に苦情を申し出て勧告や命令などの指導を求めることが考えられます。
 また、これとは別に、飼い主が、「受忍限度」と呼ばれる「普通の人が我慢しなければならない限界」を超えた被害を周囲に及ぼす場合には、飼い主に損害賠償責任が発生します。これは、飼育している猫や餌付けにより集めた野良猫を原因とする被害のみならず、ゴミの放置といった動物と関係のない被害についても当てはまる、一般的な法的ルールです。
 ご相談の件では、これらの義務を根拠に行政を通じて話し合いをして解決する方法が妥当かと思います。ただ、それでも解決しない場合は、飼い主を相手方として民事調停を申し立てるという方法が考えられます。この手続きは、相手方を裁判所に呼び出し、裁判所が選任した調停委員が双方の言い分を聞いたうえ、調停案を提示し、相手方との合意により解決を図るというものです。ただし、当事者がどうしてもこの調停案に応じない場合には、訴訟手続で解決する他はありません。
 訴訟手続においては、被害者が受忍限度を超える被害を受けたことを主張立証し、これを受けて裁判所は、飼い主に対する慰謝料等の損害賠償請求が認められるかについて、判決というかたちで強制的に判断することになります。なお、飼い主が近隣住民の説得や行政の勧告・命令に応じず被害が著しいという場合には、近隣住民の人格権や財産権を侵害するものとして、飼い主に猫の飼育や餌付けの差し止めを求めることもありえます。

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