ワンちゃんとネコちゃんの病気の知識

貧血について

こんにちは。アニマル医療センター 桃ペットクリニックの院長の加藤です。最近TVを見ていたらニュース番組で、とある政治家の発言について「街の人の意見は9:3で否定的でした」かのようにまとめていました。ただ、インタビューした人数が12人でした。賛成9人、反対3人だから9:3の割合とはなんともお粗末ではないでしょうか?全国放送のトップニュースで放送するほどの内容なのに12人って・・・。小学生の夏休みの研究発表でももう少しがんばるのでは?せめて100人ぐらいの意見を参考にして欲しいです。マスコミの意図的な世論操作なのか、本当に製作者が低能なのか?あの放送を見て「ほ~、否定的な意見の方が多いのか~」なんて思う人がいるのでしょうかね??今回は脳にも大切な血の話です。
【貧血とは?】
貧血というと小学生の頃朝礼で倒れる人が何人かいましたが、あれは一時的な貧血で立ちくらみと似たようなものです。一時的な貧血は病的ではないことが多く問題はありませんが、貧血の原因によっては致死的なものもあります。
貧血の原因は多種あり、他の病気と複雑に関係している場合も有りますが、大きく分けると出血による貧血(失血性貧血)、赤血球が溶けてしまう貧血(溶血性貧血)、新しい血が作られなくなる貧血(再生不良性貧血)に分けられます。各種貧血の原因も多岐に亘り、失血性貧血では、外傷・胃腸炎・寄生虫・薬物中毒・膀胱炎等。溶血性貧血ではネギ中毒・フィラリア症・赤血球の寄生虫・自己免疫異常等。再生不良性貧血では薬物中毒・抗生剤の副作用・腎不全・感染症・白血病等です。また、腫瘍はどのタイプの貧血も引き起こす可能性があります。
【貧血の症状】
原因によって様々な症状がありますが、黄疸や粘膜の白色化・元気喪失・運動を嫌がる・寝る時間の増加・呼吸数の増加・被毛が荒くなる・体重減少・血尿・発熱・リンパ節の腫れ・脾臓や肝臓の腫れ等。いくつもの症状が重なるときもありますし、他の病気や老化でも似たような症状の場合もあるので症状だけから貧血の原因を特定する事は難しい事も多いです。特に腫瘍(癌)が原因の一つの場合はより複雑な症状が現れたり、腫瘍の種類によっては超音波やレントゲン等で発見しづらい物もあり、最終的には腹部切開をしないと原因が特定できない事もあります。
【貧血の治療方法】
治療法は原因によって全く違いますので原因の特定のために各種検査が必要になります。怪我や寄生虫が原因ならば手術や駆虫です。鉄剤やビタミン剤やホルモン剤の投与や輸血が効果的なこともあります。自分の免疫が異常な反応をして自分で赤血球を壊してしまう免疫性貧血の場合はステロイド剤や免疫抑制剤の投与ですが、薬で効果がない場合は脾臓を摘出する事が必要な場合もあります。再生不良性貧血の場合は原因薬物の除去やホルモン剤の投与や輸血等です。
言葉で書くと単純な様に見えますが複数の原因や腫瘍等の場合は一時的に貧血が改善されても再度貧血が発症したり、急速に貧血が進む事もあります。具合が悪くなってから1週間ほどで死亡してしまう事も有ります。
脾臓摘出のような手術はある程度体力がないとリスクが高く、病状の一進一退を繰り返しているうちに手術時期を逃してしまう事もあります。

貧血は通常の診察や検査でよく遭遇しますが、ほとんどはペット自身の症状もなく単なる生理現象の範囲で一時的なものです。最近、免疫性貧血は増えてきている感じがしますが、免疫異常は花粉症のようなアレルギーと似ていて、いつ誰が発症しても不思議ではありません。先日もマダニに刺されて人間が死亡して話題になりましたが、愛知県でもそのうち死亡例が出てくるでしょう。ペットの世界でもマダニに刺されると、血液に小さな寄生虫が感染して貧血を起こします。死亡例は西の方からだんだん東の方へ広がっていて、愛知県でも発生件数は少ないようですがゼロではありません。地震や大気汚染も怖いですが、新型インフルエンザや新種のマダニ感染等自然界の変化も恐ろしいですね。

カテゴリー: 病気の知識   パーマリンク