ペットの法律相談所 ペットを取り巻く法律問題

近所の人が世話をしている野良猫に車を傷つけられた

最近、近所で野良猫が増えました。季節が変わるごとに増えているみたいなのですが、近所のおばあさんがその猫たちに餌をやっているようです。「この子達、私になついちゃって」と話しているのも耳にしました。先日、洗濯物を干していたところ、うちの車のボンネットの上でその猫たち何匹かが喧嘩をしていました。私は傷つけられるかもしれないと車を見に行ったところ、案の定、数々の引っかき傷がついていました。餌をあげている近所のおばあさんに苦情を言いに行きましたが、「野良猫だから私は関係ない」と言われました。
我が子の様に餌をやっているのに、いざという時には無関係と言う。このような場合で何か訴える方法はありませんか。

 民法718条1項は、動物が他者に損害を与えた場合、動物の「占有者」に対して損害賠償を請求することを認めています。
 お尋ねのケースでは、野良猫にエサをあげている女性が、「占有者」に当たるかが問題となりますが、「占有」とは「自分の利益のために、物を自分の支配内に置くこと」ですので、野良猫に餌やりをしているだけでは、「支配内にある」とは言えず、損害賠償を請求することはできないと考えられます。
 この点について、奈良公園の鹿について、鹿を管理する愛護会に占有を認めた判例があります。奈良公園では多数の鹿が、柵等の物理的な囲いのない広い地域に生息していますが、裁判所は、愛護会が、戦後費用を支出して鹿の保護育成に努めてきたという歴史的経緯、同会が、エサの供与、公園内外のパトロール、負傷した鹿の収容、角伐り、農家からの追出し等の鹿害防止策や毎年の頭数調査を実施してきた実績、鹿の帰巣性などを根拠に、愛護会の占有を認定しました。逆に言えば、これだけの事情がなければ、「占有」があるとは認定されにくいということになります。
 また、動物愛護法25条1項は、多数の動物を「飼養又は保管」するに際して、鳴き声、糞尿、毛などにより周辺の生活環境が損なわれる事態となっている場合には、都道府県知事が期限を定めて必要な措置をとるべきことを勧告できることとされていますが、この規定も動物を「飼養又は保管」していることが前提となります。野良猫に餌やりをしているだけでは、訴えるのは難しいといえます。

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